2024年3月23日土曜日

海外の素敵な建物やデザイン19 マントヴァのテ離宮 Palazzo del Te

 今回から数回に渡り、マントヴァの南の方に位置する テ離宮 Palazzo del Teについての

記事を書いてまいります。テ離宮 Palazzo del Teは、15世紀から17世紀にかけてマントヴァを

統治したゴンザーガ家の別荘で、1526-1533にかけて ジュリオロマーニの手によって建築・

内部の装飾を手掛けられたルネサンス期を代表する建物です。


この写真は、北西の方向から撮影した外観です。

また、全体のプランは下のようになります。出典:「Palazzo Te Muntua Skira Guides」


内部の部屋は下の図のように配置されています。出典:「Palazzo Te Muntua Skira Guides」

配置図 Ground for planの12から1のエントランスを見るとこのように見えます。

中庭をぐるりと石造りの美しい壁(壁と言ってもただの壁ではないのですが)で囲まれて

います。ルネサンスの趣にあふれていますね。

テ離宮 Palazzo del Teの最大の見どころは、「馬の間」Sala dei Cavalliと

「巨人の間」Sala dei Gigantiだと言われています。

早速 「馬の間」Sala dei Cavalli に入るため、前室とも言える 間取り図6の

Loggia delle Museへ進みます。

「女神たちの間」と言われるだけあり、ギリシャ神話の神々が描かれています。

この建物のの建設を命じたフェデリコ2世・ゴンザーガは、一流の古代の文化でテ離宮を

訪れる人をもてなすことを望んでいたそうです。

西側の半アーチ型の壁には羽の生えたペガサスの隣にアポロのフレスコ画があり、

他にも芸術や科学の神々が壁や天井に、天井には象形文字が描かれています。

柔らかい色合いのフレスコ画なので、神々に包まれるような雰囲気に満ちています。

それでは、「馬の間」Sala dei Cavalliへ入っていきましょう。

この 「馬の間」Sala dei Cavalliには美しく立派な馬や神話の神々が美しいフレスコ画として

描かれています。

白馬をはじめとする立派な馬たちは、ゴンザーガ家の愛馬だったそうです。
遠近法により描かれているため、馬が浮遊しているように見え、迫力があります。

この部屋は当時ダンスホールなどの社交場として使われていたそうです。

「河出文庫」より出版されている

「なぜ古典を読むのか イタロ・カルヴィーノ著 須賀敦子訳」の装丁にこの部屋の写真が

使われています。

本の装丁に使われている壁面は、この上の写真の正面の壁です。

「なぜ古典を読むのか イタロ・カルヴィーノ著 須賀敦子訳 河出文庫」の装丁は

(私の写真とは違って)とても素敵な構図で、写真のカラーもシックなトーンです。

実は、この本の装丁を見た時から、マントヴァに行く機会があれば実物を見てみたいと思っ

ていたので、本物の壁を見ることができた時には感無量でした。

また、この部屋の内部の装飾も、ジュリオ・ロマーノ Giulio Romanoが手掛けたのことです

が、幻想的な成熟したマニエリスム期の芸術、壁はもちろんのこと、天井の細かい装飾など

どこをみても美しい部屋だと思います。


ギリシャの神々と馬という動物の存在が、現代という時間を忘れさせてくれるような

気持ちにさせてくれる そんな空間です。

馬の間を出て他の部屋に行くまでにも、神秘的なアートなどが数多く展示してあります。

次回は 「巨人の間」Sala de Gigantiについて記事にしたいと思います。





2024年3月20日水曜日

海外の素敵な建物やデザイン18 マントヴァの街並み

 今回は マントヴァの街の中で見かけた素敵な建物などについて記事にしたいと思います。

マントヴァの街並みは、ローマなどの観光地と異なり整然とした街並みです、ルネサンス期

などの建物を中心に豊かで落ち着いたな印象を受ける街並みです。

エルベ広場の近くに、円筒形の一際目をひく建物がありました。

こちらの 円筒のロトンダのような建物は Rotonda di San Lorenzo 

ロトンダ・ディ・サン・ロレンッオ

エルベ広場の南側に位置する、ローマのラウレンティウスに捧げられた教会だそうです。

11世紀に建てられたそうで、現在もその美しい姿を残しています。

1579年にゴンザーガ家の命で礼拝堂から倉庫等に使われることになったそうですが、

中に入ると陶器のレリーフやモザイク画の断片が残っていて、歴史の重みを感じられる

そうです。


ロトンダ・ディ・サン・ロレンッオ Rotonda di San Lorenzo を近くから見てみます。

後ろにラジョーネ宮Palazzo della ragione や

サンタンドーレア・ディ・マントヴァ聖堂 Basilica di Sant'Andrea も一緒に見ることができ

街全体の美しさや歴史の流れを感じることができますね。

次にエルベ広場からの通りを進んでみます。


ロッジアを持つ美しい建物に出会いました。Palazzo Andreaniとのことです。

ロッジアはLoggia dei Mercanti.  壁にMERCATO GRANARIと銅板のサインがあります。

1900年代に建てられた比較的新しい方の建物ですが、パラーディオのロッジアを彷彿させる

ような建物です。イベントなどが開かれるスペースのようで、訪問した時は

アイアンワークスの制作実演・販売などが行われていました。


傘立てやフラワースタンドでしょうか。素敵なアイアンで作られた小物を見ることができ

ました。

私はこの後、バスでテ離宮 Palazzo del Te へ向かったのですが、テ離宮を出た後に可愛い

ものに出会いました。


こちらです。下の地図、テ離宮の横にある市民プールの庭で出会いました。

 
テ離宮 Palazzo del Teはマントヴァを統治したゴンザーガ家

(ドゥカーレ宮殿を居城としていました)の別荘で、ドゥカーレ宮殿からバスで15分くらい

のところにありますが、そのテ離宮 Palazzo del Te を建築したジュリオ・ロマーニの家が

テ離宮 Palazzo del Te から歩いて10分くらいのところにありました。


ジュリオ・ロマーニ(1499〜1546)は中世の建築家・画家でルネサンス期を代表する

芸術家です。ローマでラファエロの工房で修行を始めた彼は、1524年にはマントヴァに

建築家として招かれ テ離宮 Palazzo del Te の建築及び内装の美術を手掛けました。


ジュリオ・ロマーニの家とされる建物にもルネサンス期の建物の特徴が垣間見られますね。

ヴィチェンツァのパラーディオの記事のところでジュリア・ロマーノのことに少し触れたので

すが、ヴィチェンツァにある市庁舎バシリカ パラッツオ・デッラ・ラジオーネの改修計画

の際にジュリア・ロマーノも改修計画案を出したそうです。

ヴィチェンツァのパラーディオの記事も読んでいただけると有り難いです。


ティツィアーノ作のジュリオ・ロマーニの肖像画です。テ離宮の設計図を持っているの

でしょうか。

肖像画の出典は テ離宮 Palazzo del Te のブックショップで求めた 

「Palazzo Te Mantua SKIRA」になります。


他にもバロック様式の教会が近くにありました。きれいな建物です。

また ジュリオ・ロマーニの家の隣の家などもルネサンス様式で左右対称の美しい様式を

保っています、

ルネサンス期の建築を彷彿させる街並みです。

マントヴァはとても素敵な街です。さて、次回からは テ離宮 Palazzo del Teについて

記事にしたいと思います。


日本の素敵な建物や庭園④皇居東御苑の諏訪の茶屋

 前回ご紹介した和田倉噴水公園のすぐ近くにある皇居東御苑は、 その庭園や林の美しさもさることながら、歴史ある建造物なども多数あり、 日本の美しい建物を見ることができます。 大手門から入り大手三の門を抜けると、左手(写真右)に百人番所などがあります。 長さ50mを超える建物だそう。...