2024年3月12日火曜日

海外の素敵な建物やデザイン17 マントヴァのPalazzo Ducale

今回は イタリア・マントヴァ ドゥカーレ宮殿 Palazzo Ducalの居住スペースと

タペストリーの間について記事にしたいと思います。


案内図の下の方、案内図34のドアを抜けるとAppartamento dell'Imperatrice(Empress'sApartment)

へ行くことが出来ます。

この部分は1778年に建築家 Paolo Pozzo パオロ・ポッツオ(Verona 1741-1803)によって

マリア・ベアトリーチェ・デステ Maria Beatrice d'Este のために改装されたエリアとの

ことです。

ちなみにですが、マリア・ベアトリーチェ・デステ Maria Beatrice d'Este はオーストリア

フェルディナンド(マリア・テレジアの息子マリーアントワネットの兄)の妻だそうで、

ハプスブルグ家の優雅な内装であるのも頷けますね。

だそうです。

もともとは13世紀につくられたとか。。

優雅な内装ですね。家具などもエレガントです。

壁の色合いなども淡いトーンで統一されています。


このようなキュートな浴室(?)もありました。


それでは、ドゥカーレ宮殿の紹介で、ガイドブックなどで必ず紹介される

「タペストリーの間」Apartment degli Arazzi (Room of The Tapestries)についてご紹介いたします。

「タペストリーの間」とは案内図35-37の部屋にわたって ラファエッロの下絵による

フランドル製(北フランスからブリュッセルに広がる地域)の9枚のタペストリーで

飾られた空間です。

「タペストリーの間」Apartment degli Arazzi (Room of The Tapestries)に行くには、

案内図34のSala dei Fiumi(川の間)を出て35のSala dello Zodiaco(星座の間)の方へ行くと 次に35の部屋へ行くことができます。

(Electa THE DUCAL PALACE MANTUA による)

この部屋は。

エルコーレ・ゴンザーガ枢機卿によって1550年につくられた 案内図35のSala dell'Aqullaです。

向かって右側のタペストリは「聖ステファノの殉教」です。

礼拝堂として使われた1つ目と2つ目の部屋の通路です。

正面がフェリーチェ・カンピ(Mantua 1746-1817)によって描かれたフレスコ画です。

右側が同じくフェリーチェ・カンピ(Mantua 1746-1817)によって描かれた「羊飼いの礼拝」

ヴォールト天井になっており、正面のフレスコ画の廻りに彫刻が施されています。

ジョヴァンニ・バッティスタ・マルコーニのテンペラ画(卵などを混ぜた顔料)と

スタニスラオ・ソマッツィのスタッコ彫刻も素晴らしいです・

案内図35の部屋です。

正面が 1549年頃から1557年頃にかけてブリュッセルで織られた「アテネでのパオロの説教」

         Tapestry depicting 「The Healing of the Lame Man」

1549年頃から1557年頃にかけてブリュッセルで織られたタペストリー「身体障害者の治癒」

です。


天井も素晴らしいデザイン・装飾です。


タペストリーはラファエッロ・サンツィオ(Raffaelo Santi/Sanzio )とその工房に

よって制作された原画に基づき3つの部屋にかけられました。

元々は16世紀初めにシスティナ礼拝堂のためにラファエロによって描かれた下絵に基づき

織られたそうです。

マントヴァにある9枚のタペストリーは ウルビーノにあるドゥカーレ宮のタペストリーと

ともに最も古い部類のものだそうで、背景にあったこのような話を知るとタペストリーの

重みを感じます。

Palazzo Ducaleの内装や内部の芸術などについての記事は最終回になりました。

次回からはマントヴァの街やテ離宮などについて記事にしたいと思います。








2024年3月9日土曜日

海外の素敵な建物やデザイン16 マントヴァのPalazzo Ducale/Sala dei Fiumi

今回は イタリア・マントヴァ ドゥカーレ宮殿 Palazzo Ducalの素敵なお部屋の中でも

有名なSala dei Fiumi (Room of Rivers) ほかについて記事にしていきたいと思います。


Sala dei Fiumiはロココ様式の装飾が施された部屋。

グリエルモ・ゴンザーガの命で1579年に設計され、18世紀にヴェローナの画家

ジョルジョ・アンセルミ Giorgio Anselmi によって川の人物像と金庫室の絵

(父アポロンに太陽の戦車を求めるフェートンの神話のテーマ)が描かれたそうです。

 「The Ducal Palace Mantua」 によるとこの空間は建築家で舞台美術家の Garteano Crevolaに

よりかたち作られ その後、ジョルジョ・アンセルミ Giorgio Anselmi と共同して改築され、

より精巧で建築的な造形を持ち、光のある劇場として使える空間になったそうです。

現在でも 音楽ホールなどとして使用されているそうです。


この時期(1773年から1775年頃)オーストリアの介入により旧中庭が公邸として使用されて

おりその時に壁と金庫の絵画装飾が行われたといわれています。

中央のエピソードの周りに配置されているのは時と土星の姿で、後ろから下を見た図像で

時間の経過を表しています。

          Anton Maria Vianiによる グロッタ (岩壁)

このお部屋が  Sala dei Fiumi (Room of Rivers) 「川の間」と呼ばれるのは

壁面にマンドヴァ周辺を流れる5つの川を擬人化されたものが描かれているからなのです。

5つの川は ポー川、オリオ川、ミンチョ川、キーゼ川、セッキア川

il fiume po, il fiume d'oglio,  il fiume Mincio, il fiume Chiese, il fiume Secchia 

キーゼ川、オリオ川,セッキア川はポー川の支流、ミンチェ川はポー川水系だそうです。

ロンバルディア地方はポー川の恵みで肥沃な大地が広がり食文化や他の文化も豊かに形成

れた地方だと聞きます。

その川へのありがたい気持ちを擬人化して表現したお部屋なのでしょうか。

天井の Phaeton's Chariot 馬車に乗るファエトンの絵もジョルジョ・アンセルミ 

Giorgio Anselmi によるものだそうですが、圧巻です。
中庭が見えます。当初この中庭に浮いたような感じで作られたとか。


この川の間 Sala dei Fiumiの部屋の位置は案内図34

ドゥカーレ宮殿には、これまでご紹介したお部屋などがある建物から見ると離れのような位置

に サン・ジョルジョ城 Castello di San Giorgio があります。


案内図 向かって左下、Castleの部分の17の部屋がCamera degli Sposiになります。

ここで 少し本題から外れます。

「川の間」はsala dei Fiumi で「結婚の間」は Camera degli Sposiと

 日本語では同じ「間」が sala とcameraとイタリア語では異なる単語が使われているのが

少し気になったので、辞書を引いて見ました。

salaは同じ部屋を表すのにも広めの部屋やホールの場合に使われ、cameraは寝室や個室の部屋

他えばホテルの客室などの場合に用いられるようです。

では、本題に戻って。。

この サン・ジョルジョ城 Castello di San Giorgio には ドゥカーレ宮殿で最も

(と言えるでしょう)有名なCamera degli Sposi(結婚の間)があります。

訪問した2016年には、この部屋の見学は予約制でした。

ミラノから電車でマントヴァへの日帰り旅でしたので、見学時間と予定とが合わず

Camera degli Sposiの アンドレア・マンテーニャによる Andrea Mategna 天井の騙し絵の

見学ができずとても残念でした。

この騙し絵の絵葉書や、天井をモチーフとしたエコバックなどを購入して後ろ髪を引かれる

思いで、宮殿を後にしたのでした。


空から天使たちがのぞいているこの絵。天使の表情もいいですね。

素敵な絵葉書です。実物はとても美しいのでしょう。マンテーニャの傑作です。

このお部屋について「The Ducal Palace Mantua Electa」の本より写真や記事を

ご紹介いたします。

西側および北側の壁に描かれている アンドレア・マンテーニャによる Andrea Mategnaによる

「The Meeting」と「The Court」




西側の壁に描かれているアンドレア・マンテーニャによる Andrea Mategnaによる

「The Meeting」の詳細です。


西側の壁に描かれているアンドレア・マンテーニャによる Andrea Mategnaによる

「The Court」の詳細で、ゴンザーガ一族が描かれているそうです。

アンドレア・マンテーニャAndrea Mategna はパドヴァ派の代表格とも言われる画家で有名

です。

ご興味や機会がありましたらぜひ本などでもご覧いただければと思います。


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