2024年3月29日金曜日

海外の素敵な建物やデザイン21 パドヴァのサンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂 Basilica di Sant'Antonio da Padova

 今回の美しい建物は イタリア・パドヴァにあるサンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂

Basilica di Sant'Antonio da Padova です。

パラーディオの作品を色々と見た後、ビチェンチャからミラノまでの帰路、電車でパドヴァ

に立ち寄りました。

トレニタリアのローカル列車 Trenitalia Regionaleに乗り30分くらいで到着です。

パドヴァにはイタリアで2番目に古い大学であるパドヴァ大学があるところだと

(1222年設立)塩野七生様の著書で読んだ記憶がありましたが、駅に到着すると学生らしい

人たちが大勢電車を待っていたり、また電車に乗り込んだりと他の土地とは違った空気を

感じました。

  トレニタリアのパドヴァ駅 Stazione FS di Padova 駅の列柱もさすがという感じです。

駅前の様子です。街中にはトラムが走っており、道も広く整備されて移動しやすいです。


サンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂 Basilica di Sant'Antonio da Padovaの前に

スクロヴェーニ礼拝堂へ立ち寄ります。

時間の関係で、ジョットーのフレスコ画が描かれているスクロヴェーニ礼拝堂の内部には

入れなかったのですが、この建物がある古代ローマの競技場「アレーナ」の庭や内部で

歴史を感じることができました。


ジョットーのフレスコ画についての案内板です。


アレーナにはかつてこの地にあった遺跡から出土したものが展示されています。


床のモザイクタイルひとつをとっても美しい造形美を感じます。

どのような意味があったのでしょうか。



それでは、サンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂 Basilica di Sant'Antonio da Padovaを

目指していきます。


来訪者が多いというこのカトリック聖堂の前には広い道が続いており、聖堂の前には広場

Piazzza del Santoがあります。

パドヴァの聖アントニオ聖遺物が保管されているそうです。

このサンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂 Basilica di Sant'Antonio da Padovaでまず目をひ

くのはその外観です。

ファサードはロマネスク様式で、間口37メートル、高さ28メートルの大きさを誇っています。

(出典:SANT ANTHONY AND HIS BASILICA :Guide and life of our Saint 
                EDIZION MESSAGGERO PADOVA. ) この聖堂の売店で購入しました。

5つのアーチはゴシック様式、クーポラはビザンチン様式、鐘楼にはイスラム様式が取り

入れているなど異なる様式の調和が素晴らしい建物です。

正面のドアは19世紀の建築家カミッロ・ボーイトの作品でドア上の絵は15世紀の宗教画家

マンテーニャの複写であると前述のガイドブックに書いてあります。


また、正面広場にはドナテッロ Donatello の作品のガッタメラータ騎馬像 Gatamelata

が置かれています。この ドナテッロ Donatello の代表作は1453年に設置されましたが、

ルネサンス期に作られた最初の騎馬彫刻銅像であり、また古代ローマの騎馬彫刻銅像を復活

させた最初の銅像だそうです。


違う角度から見てみます。

建物外観を違う方角から見てみます。

クーポラや鐘楼やバットレスの構造がよくわかるかと思います。


それではこの建物の中はどのようになっているのでしょうか。

前述の(出典:SANT ANTHONY AND HIS BASILICA :Guide and life of our Saint 

                EDIZION MESSAGGERO PADOVA. ) からの内部案内になります。

案内図13のMagnoliaCloister.   マグノリアの四角い中庭 に入りましたが

他へは礼拝の関係もあって入っていないので、

(出典:SANT ANTHONY AND HIS BASILICA :Guide and life of our Saint 
                EDIZION MESSAGGERO PADOVA. ) 

から 内部をご紹介いたします。

案内図1 のTHE ORATORY OF SAINT GEORGE


案内図3 のTHE  INTERIOR


案内図4 のTHE  CHAPEL OF SAINT ANTHONY


案内図5 のTHE  CHAPEL OF THE BLACK MADONNA


案内図6 のTHE  CHAPEL OF BLESSED LUKE


案内図7 のTHE  RADISL CHAPELS

案内図8 のTHE  CHAPEL OF THE RELICS
案内図9 のTHE  CHAPEL OF SAINT JAMES

次回はMagnoliaCloister.   マグノリアの四角い中庭 やこの聖堂の周辺の素敵な建物を

記事にしたいと思います。

2024年3月26日火曜日

海外の素敵な建物やデザイン20 マントヴァのテ離宮 Palazzo del Te

 前回に引き続き イタリア・マントヴァにあるテ離宮 Palazo del Te の「巨人の間」

「Sala dei Giganti」のことを記事にしたいと思います。


案内図15の部屋がPallazo del Te の「巨人の間」「Sala dei Giganti」です。

この部屋はこの建物の中でも最も有名な部屋で、その豊かな独創性と表現力は半世紀ほど

経った現在でも訪れる人を魅了します。



この空間の中に「巨人と戦うギリシャ神話の神々」が、壁・天井にぎっしり描かれています。

1532年から1535年までの年月をかけて描かれたそうで、その壮大さ、スケールの大きさ、

迫力には圧倒されます。


この部屋はモールディングを持たないただ一つの部屋で、この部屋は建築というより

神々や巨人の姿が素晴らしいため、部屋全体がキャンヴァス・絵画という印象を受けます。

「画家・彫刻家・建築家列伝」などルネサンス期の芸術家の評伝を書いたヴァザーリ

(Giorgio Vasari 1511-1574)は1541年にジュリオ・ロマーニ Giulio Romaniにマントヴェへ

招待をされた際、「ジュリオ・ロマーニ Giulio Romaniの作品を見るのにこの地を4日間は

離れることをできなかった」と述べているそうです。

ヴォールト天井の写真     出典「Palazzo Te Mantua Skirt Guides SKIRA」


西側の壁の写真     出典「Palazzo Te Mantua Skirt Guides SKIRA」


   南側の壁の写真     出典「Palazzo Te Mantua Skirt Guides SKIRA」

この部屋にはオリンポスの神々に対して巨人族が反乱を起こし、ゼウスの雷で巨人たちを

倒したという、オウィディウスの変身物語の一場面が描かれています。


ジュリオ・ロマーニGuilio Romaniはこの神々と巨人という比喩的な構成を持つ絵の空間を

演出するために、建築面としての壁同志の境界、壁とヴォールト天井との境界が

感じられなくするような工夫をし、素晴らしいこの絵をこの部屋に描いているのです。

18世紀に改装されるまでは、床には川の玉石が敷き詰められ、不安定な足元の中で

迫力ある神秘的なこの「Fall of the Giants」を当時の方たちはみていたのかと思うと

歴史のロマンを感じます。


部屋を出て案内図10の 「風の間」へ進みます。

この部屋は壁にモールディングがあり、暖炉のような造作も見られます。

天井の数種類の多角形の中にフレスコ画が描かれ、その周囲にはやはり装飾が見られます。

建築と絵画との関係で考えると、先ほどの「巨人の間」との違いがよくわかります。

案内図12の「LOGGIA DI DAVID」へ進みます。



建物を出て 案内図25のGrotto


鍾乳洞?洞窟?



手を触れないように アタッチオーネ と遠隔でスピーカーから注意されました。

案内図26のアーチ壁を臨みます。


中も外も素晴らしい テ離宮 Palazzo del Teでした。


2024年3月23日土曜日

海外の素敵な建物やデザイン19 マントヴァのテ離宮 Palazzo del Te

 今回から数回に渡り、マントヴァの南の方に位置する テ離宮 Palazzo del Teについての

記事を書いてまいります。テ離宮 Palazzo del Teは、15世紀から17世紀にかけてマントヴァを

統治したゴンザーガ家の別荘で、1526-1533にかけて ジュリオロマーニの手によって建築・

内部の装飾を手掛けられたルネサンス期を代表する建物です。


この写真は、北西の方向から撮影した外観です。

また、全体のプランは下のようになります。出典:「Palazzo Te Muntua Skira Guides」


内部の部屋は下の図のように配置されています。出典:「Palazzo Te Muntua Skira Guides」

配置図 Ground for planの12から1のエントランスを見るとこのように見えます。

中庭をぐるりと石造りの美しい壁(壁と言ってもただの壁ではないのですが)で囲まれて

います。ルネサンスの趣にあふれていますね。

テ離宮 Palazzo del Teの最大の見どころは、「馬の間」Sala dei Cavalliと

「巨人の間」Sala dei Gigantiだと言われています。

早速 「馬の間」Sala dei Cavalli に入るため、前室とも言える 間取り図6の

Loggia delle Museへ進みます。

「女神たちの間」と言われるだけあり、ギリシャ神話の神々が描かれています。

この建物のの建設を命じたフェデリコ2世・ゴンザーガは、一流の古代の文化でテ離宮を

訪れる人をもてなすことを望んでいたそうです。

西側の半アーチ型の壁には羽の生えたペガサスの隣にアポロのフレスコ画があり、

他にも芸術や科学の神々が壁や天井に、天井には象形文字が描かれています。

柔らかい色合いのフレスコ画なので、神々に包まれるような雰囲気に満ちています。

それでは、「馬の間」Sala dei Cavalliへ入っていきましょう。

この 「馬の間」Sala dei Cavalliには美しく立派な馬や神話の神々が美しいフレスコ画として

描かれています。

白馬をはじめとする立派な馬たちは、ゴンザーガ家の愛馬だったそうです。
遠近法により描かれているため、馬が浮遊しているように見え、迫力があります。

この部屋は当時ダンスホールなどの社交場として使われていたそうです。

「河出文庫」より出版されている

「なぜ古典を読むのか イタロ・カルヴィーノ著 須賀敦子訳」の装丁にこの部屋の写真が

使われています。

本の装丁に使われている壁面は、この上の写真の正面の壁です。

「なぜ古典を読むのか イタロ・カルヴィーノ著 須賀敦子訳 河出文庫」の装丁は

(私の写真とは違って)とても素敵な構図で、写真のカラーもシックなトーンです。

実は、この本の装丁を見た時から、マントヴァに行く機会があれば実物を見てみたいと思っ

ていたので、本物の壁を見ることができた時には感無量でした。

また、この部屋の内部の装飾も、ジュリオ・ロマーノ Giulio Romanoが手掛けたのことです

が、幻想的な成熟したマニエリスム期の芸術、壁はもちろんのこと、天井の細かい装飾など

どこをみても美しい部屋だと思います。


ギリシャの神々と馬という動物の存在が、現代という時間を忘れさせてくれるような

気持ちにさせてくれる そんな空間です。

馬の間を出て他の部屋に行くまでにも、神秘的なアートなどが数多く展示してあります。

次回は 「巨人の間」Sala de Gigantiについて記事にしたいと思います。





日本の素敵な建物や庭園④皇居東御苑の諏訪の茶屋

 前回ご紹介した和田倉噴水公園のすぐ近くにある皇居東御苑は、 その庭園や林の美しさもさることながら、歴史ある建造物なども多数あり、 日本の美しい建物を見ることができます。 大手門から入り大手三の門を抜けると、左手(写真右)に百人番所などがあります。 長さ50mを超える建物だそう。...